富士見二丁目交響楽団コロムビア盤 雨の歌をきみに のバックアップ(No.13)


富士見二丁目交響楽団コロムビア盤 雨の歌をきみに

感想

  • 月刊「小説JUNE」連載中の人気耽美小説「富士見二丁目交響楽団」シリーズ・ドラマCD第2弾リリース!!いわゆる"耽美系"の中でも最も安定した人気を誇る作品。第1弾から新しいキャストも加え、ビジュアルも人気イラストレーターの作品を起用して、更にパワーアップ。
  • 悠季が日コンに入賞して、ガラコンサートに出演するために、ブラームスの『雨の歌』を練習している頃のエピソードが三つ。まず、圭がM響の定演で振ったベートーベンが流れます。鼻歌でメロディを歌う悠季がいるのは帝国ホテル。二日目の演奏を終えて、眠ってしまった圭のそばについています。夜遅くに起きた圭と悠季の会話が、原作のいろいろなエピソードを思い出させます。それから、富士見の家で朝ごはんを作る圭。いろいろな効果音が入って朝の台所の雰囲気が出ています。そしてこの二人は召使ごっこを始めるわけでーいやー聞いていて何度「ばかもの~!」と突っ込みたくなったことか。このCDは表現はとてもソフトなんですが、いろんなエピソードに、そのあとのことを連想させるネタが仕込んであって上手です。原作ファンなら思わず笑ってしまうでしょう。それと音楽の使い方も気がきいてる。鼻歌でベートーベンと『雨の歌』が使ってあるしBGMにサティが流れたりする。しかし何より私が感動したのは、S&Gの『スカボローフェア』でした。これはまず、悠季の夢の中で出てきます。麦わらを被ってトラクターを運転する圭とその横に座る悠季が、ふたりでスカボロー・フェアを歌っている。夢から醒めたあとにBGMでピアノとバイオリンで曲が流れる。ああ、もっと聞きたいと思ったら、ピアノとバイオリンの『スカボロ・フェア』は全曲収録されていました。二声の部分をちゃんと分けて演奏しています。まるであの家のピアノ室にいるような・・・そんな感じ。そして最後のエピソードは完全にオリジナルの話。海外留学の準備のためにパスポートを取りに行くついでに、新宿の圭の行きつけの床屋さんで、二人そろって髪を切る話。床屋の主人「キング」はかつて圭の恋人だった男で、今は良い友人という関係です。悠季をからかうキングに悠季は、はっきりと言い返す。「圭はボクのパートナーです。おあいにくさま。」それを聞いてにやける圭。キングを演じる森一馬さんがものすごく上手い。声が渋い。ネットで調べたら声優さんというよりは俳優さんなんですね。このエピソードは最近の『センシティブな暴君の愛し方』の中で触れられていました。元ネタはこのCDの脚本です。・・それにしちゃ、演奏下手すぎだろ。
326675aacc276e935af8acdfb8ccb8a7 2023-10-07 21:32:41